ブログ
Blog

FIP治療薬に関して

2024.01.26

FIPの治療薬に関しては、現在のところ日本で承認されたお薬はありません。

当院で使用している『GS-441524』『レムデシビル』はBOVA UK社製のものであり、

イギリスでは動物用医薬品として承認を正式に受けているものとなります。

現在動物病院でFIPの治療に用いられているものとしては上記製剤の他に『モルヌピラビル』、

『MUTIAN(Xraphconn)』などといった製剤を用いて治療をしていることが多いと思います。

当院でFIPの治療薬に使用しているものなどに関して、お問い合わせをいただくことがあるので、

簡単に説明させていただきます。

 

モルヌピラビル

人間の新型コロナウイルスに対して承認された内服薬となります。

FIPの原因ウイルスは猫のコロナウイルスであるため、モルヌピラビルを使用して治療を行なっている

動物病院もあるようです。ジェネリックも出ているためBOVA社GS-441524に比べると

費用は1/10くらいとかなりお安いものとなります。

では、なぜ当院ではモルヌピラビルを使用していないかというと、

FIPにおける猫の最適な用量が公式に定まっておらず、安全性が確認されていないから

ということが1番の理由となります。

冒頭でも記載した様に、モルヌピラビルは人間の新型コロナウイルス治療薬として承認が得られた

お薬となりますが、国立成育医療研究センターのホームページには、

・妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(使用禁忌)

・動物試験では、ラットにおいて催奇形性が報告されている

と記載されています。

https://www.ncchd.go.jp/kusuri/covid19_yakuzai.html

人間の新型コロナウイルス治療薬として人にモルヌピラビルを使用する場合には

5日間の投与となりますが、猫ちゃんではFIPの治療に長期間投与(84日間)が必要となるため

催奇形性(奇形が出る可能性)であったり

発がん性の可能性も否定できないと考えられます。

 

どのような薬剤に対してもそうですが、当院で使用しているGS製剤においてもFIPウイルスに対して

耐性(製剤が効かないこと)が出ることがあるといわれております。

その場合にはモルヌピラビルなどの薬剤を推奨することがありますが、

当院には常備しておりませんので必要と思われた際には常備している病院様へのご紹介となることもあります。

 

『MUTIAN(Xraphconn)』

多成分製剤といわれ、根本となっているものがGS-441524であることが判明し、

GS-441524を模倣して作られたものである。以前から流通しており、FIPが寛解する報告は多数報告されている。

製剤は高価であり100万円〜150万以上かかる。

 

Copyright(c) meru-ah All Rights Reserved.